2022年4月1日金曜日

エアロゾル感染 新型コロナウイルスの飛沫感染のメカニズム(レビュー) [医療のトピック]

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Journal of Internal Medicine誌に、
2021年7月8日ウェブ掲載されたレビューですが、新型コロナウイルスの飛沫感染と飛沫核感染(エアロゾル感染)について、現時点での知見をまとめたものです。

新型コロナウイルス感染症の感染力は非常に強く、正確には不明の点が多くありますが、一部の変異株においては、よりその感染力は増していると想定されています。

その感染の主体は飛沫感染です。
つまり、ウイルス粒子を含む水や粘液の塊が、鼻や口の粘膜から侵入して感染を引き起こすのです。

その飛沫は大きさが100μmを超えるような大きな物から、15μmより小さなものまで様々ですが、
空気中に浮遊した段階からその大きさは3分の1くらいに縮小します。
大きな飛沫は遠くまで飛ぶ一方で、すぐに落下して下に落ちてしまいますが、小さな飛沫はそのまま空気中を長期間漂うという性質があります。
これがエアロゾルです。

屋外での感染は主に大きな飛沫によるもので、口から弾丸のように放たれた飛沫が、そのまま相手の口や鼻に飛び込むことにより感染が起こります。
「唾を飛ばしてまくし立てる」というような言い方がありますが、お酒を飲みながら大声で喋っているような人では、口から飛ぶ唾が見えますよね。
あれが大きな飛沫です。
一方で小さな飛沫は直接弾丸のように相手に当たるということではなく、そのまま周囲に空気中にエアロゾルとして漂って、それが相手の呼吸により鼻や喉から吸い込まれます。
室内ではこのエアロゾル感染が主体となり、換気が不十分な状態であれば、その空気中の濃度が高まるので、感染のリスクが増加するのです。

大きな飛沫による直接の飛沫感染と、エアロゾルによる感染のどちらが主体であるかは、まだ議論のあるところですが、屋外では感染リスクはかなり下がると言う事実は、エアロゾル感染がかなり大きな比率を占めることを、示唆する根拠ではあるように思われます。

接触感染と言って、ウイルスの付着した物を介しての感染も、ドアノブや水道の蛇口などを介して、可能性としては指摘をされていますが、当初考えられたほどその比率は大きなものではないようです。

現状この飛沫感染を予防する最善の方法は、ユニバーサル・マスキング、要するに複数の人と接触する可能性のある場では、症状のあるなしに関わらず全員がマスクを装着することです。

換気をよくすることは、エアロゾルの濃度を低下させるという点で有効です。
パーテーションなどの使用は、大きな粒子による直接の飛沫感染の予防にはなりますが、エアロゾル感染の予防にはならないので、その有効性はかなり限定的です。
ただ、屋外でパーテーションを使用することは、屋外の感染が直接の飛沫感染主体であることを考えれば、有効であると推定することが出来ます。

マスクの有効性を図示したのがこちらです。
コロナウイルスの飛沫感染レビューの図.jpg
上の図がマスクのない場合。
大きな青い粒子はそのまま相手に到達し、エアロゾルとして周囲を漂う小さな粒子は、呼吸に伴って体内に入ります。

これが下の図のように両者がマスクをすることにより、完全にエアロゾル感染まで阻止することは出来ませんが、侵入するウイルス量を格段に減らすことになるのが分かります。

マスクの隙間よりウイルスは小さいのだから、マスクは無効だ、とする意見がありますが、通常はウイルス単体で感染が成立することはなく、飛沫として侵入するので、飛沫の阻止にはマスクが有効というのがその反論なのです。

これまでのデータの解析の結果、理屈の上ではたった1個ウイルス粒子によっても、感染は成立するという可能性があります。

ただ、通常少量のウイルスは、殆どが身体の自然免疫の働きによって駆除されますから、その感染確率はかなり低く、大多数の感染はある程度多くのウイルスに曝露された時に、初めて感染が成立すると考えた方が良いようです。

今日は新型コロナウイルス飛沫感染のまとめでした。

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